直球勝負の会社

この本は昨年開業した、「ライフネット生命」というインターネット専門の生命保険会社の社長の出口治明さんが書いています。この保険会社は、20-30代の人の大きな支持を受けて現在も順調に契約数を伸ばしているようです。

社長である著者はもともと日本生命の人ですが、少子化や保険金不払問題で風当たりの厳しい生命保険業界に新しい波を起こそうとしています。
その会社のビジョンは、大きく3つです。
「保険料を半額にする」
「保険金の不払いをゼロにする」
「保険商品の比較情報を発展させる」
実はどれもやろうと思えばできる(できた)けれどもこれまで他の保険会社ではやってこなかったことばかり。
結局会社側の視点で経営を行っていたことになるのですが、これを顧客側の視点で変えていくビジョンです。

若い副社長の岩瀬さんと二人三脚での立ち上げから開業までのストーリーが著者の思いと共に書かれています。

新鮮だった部分は以下の部分

その頃から漠然と、川の流れに流されて生きていこう、と思っていました。人間の営みのすべては、脳がコントロールしています。しかし脳の活動の中で、意識として知覚される部分は、全体のわずかでしかありません。全体のわずかの部分で必死に考えた将来の設計図を前提に、一歩一歩キャリアを築き上げていくような人生はつまらない、そう考えていました。

それに多くの自叙伝などを読んでわかったことは、人間の一生は人智を超えた何か大きな力によって動かされているということでした。これを運命と呼ぶ人もいます。自らの意思の力だけで何かを成し遂げた人は、とても少ないのです。チャンスを必死に求めたからといって、それなりの成果が得られるほど人生は単純ではないのです。ともあれ、自然体で自分に正直に生きようとすることが、easy-goingな性格の私にとっては、おそらく都合がよかったのでしょう。

著者の大きな視野での自然体な生き方が、風のように心に入ってきました。
この会社ができたのも偶然の出会いからと書いてありましたが、そのような流れを感じ、受け取りながら自分の役割を生きていくことの幸せを感じました。
直球勝負の素晴らしい会社が100年後どう成長しているか、楽しみです。

直球勝負の会社―日本初! ベンチャー生保の起業物語

直球勝負の会社―日本初! ベンチャー生保の起業物語