モチベーション3.0

人のモチベーション(動機付け)に関する新しい考え方を示した本。
世の中で一般的に行われているアメとムチの動機付けをモチベーション2.0と定義する。この交換条件付き動機付けでは今後創造的な成果を出すことはできないことを過去の多くの実験データから示している。
そしてそれに変わる新しい動機付けをモチベーション3.0と定義する。活動によって得られる外的な報酬より活動自体からもたらされる内的な満足感から行動する動機付けである。要は、楽しいから、好きだから取り組むというモチベーションである。
モチベーション3.0の要素として「自律性」「マスタリー(熟達)」「目的」を挙げる。これもわかりやすい。

世の中の多くの人はもちろんモチベーション3.0で動きたい、働きたいと感じていると思うが、社会・会社の仕組みがまだ古い仕組みのままである。そこが今多くの人が苦しんでいるところなのではと思う。
最近気づいたことは、子供との会話で、自分が以下にモチベーション2.0を無意識に使って会話しているかということ。「〜をしたら・・・してあげる」という会話がまさにそう。自律的に何事にも取り組むよう会話していくのは難しいが、意識して変えていけたらと思っている。

これまで自分の中でなんとなくであるが感じていたことをわかりやすく明確化してくれたことは価値があった。それに加えて自分の中の無意識を意識させられた1冊でした。

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか

「社会を変える」お金の使い方

もう既に世の中はこの本の指し示す方向に動いていると思う。
これまで寄付というと、たしかに自分も著者(NPO法人フローレンス代表の駒崎氏)と同じく街頭募金ぐらいのイメージしかなかった。だが自分に余裕がある時だけ寄付をしてもらうという仕組みはもう古い考え方だとこの本で知った。
社会で助けが必要な人やことに対して微力ながら貢献したい、という一人一人の思いは昔からあったとは思う。しかしここ最近物を買うことでは充足感を得られなくなった私たち日本人が、社会問題に対して行動することで社会に貢献でき充足感を得られるという大きなモチベーションの変化がこの寄付に関しても追い風になっていることは間違いない。
あともうひとつは寄付を集める仕組みの進歩である。インターネットを通じて寄付を集める人と寄付する人があっという間につながることが可能となり、簡単な手続きで継続して寄付を集めることができる。
そう考えていくとこの本はこの大きな流れをさらに推し進めるための大きな道標となっていると思う。
「寄付は投資であり投票である」「企業にとっても寄付は意味がある」など、新しい考え方が示されていることも素晴らしいが、それ以上に未来をよりよい社会にしたいという著者の熱い思いがひしひしと伝わってきた。
未来の姿をしっかりイメージし伝えた上で今から私達がすぐできることも具体的に書いてあり今後多くの人々を動かしていく本だと思う。

「社会を変える」お金の使い方――投票としての寄付 投資としての寄付

「社会を変える」お金の使い方――投票としての寄付 投資としての寄付

成長の限界

環境問題について語るときには絶対に避けて通れない本。
400ページの大作で、地球の複雑な「人口-経済-環境システム」をワールド3というシミュレーションモデルを使って12のシナリオで未来を予測している。
既に本書の執筆された2002年には、「人類が持続可能ではない領域」にあることはほぼ明らかであったが、そこから幾つかのシナリオを通して今後の発展を詳細に書いてあった。

幾つかのシナリオについて書いてみると、、
シナリオ1である20世紀の成長政策を何も変更しないまま進んだ結果は、生活の豊かさが2020年をピークに下降する。工業製品やサービスの生産も落ち、食料や保健サービスも減退し、平均死亡率も上昇する。一番怖いシナリオである。
シナリオ4(入手可能な再生不可能な資源がより多く、汚染除去と土地の収穫率改善の技術がある場合)では、シナリオ1よりピークは50年ほど遅くなるが、その後は豊かさやその他数値が下降する。
シナリオ9(世界が2002年から人口と工業生産を安定させるという目標を取り入れ、かつ、汚染、資源、農業に関する技術を加えた場合)では、社会は持続可能となる。80億の人々が高い生活水準を保ちつづける。

どのシナリオになるかは、自分達が何を選択するかの違いだけだ。かなり大きな壁だけれど、越えられないことはないという感じか?
環境問題は、どれだけ地球レベルの視野で考えることができるか、だと思う。日本でもエコという言葉が流行っているけど、日本だけでは意味がない。地球レベルで他国と一致団結し動いていかなければ達成できない。

本書では次なる革命「持続可能性革命」が必要とかいてあるが、同感。まずは個人レベルから行動していきたい。
そのためのツールは、5つ紹介されている。

  • ビジョンを描くこと。
  • ネットワークをつくること。
  • 真実を語ること。
  • 学ぶこと。
  • 慈しむこと。

本当に望ましい世界にするかは、リーダーシップ、倫理、ビジョン、勇気しだいである。それはコンピューター・モデルの特性ではなく、人間の心や魂の特性なのだ。

成長の限界 人類の選択

成長の限界 人類の選択

日本のNPOはなぜ不幸なのか?

この本は現在のNPOに関する法律や事業に関する問題点を指摘している。
NPOに関する法律ができてからもう10年経つが、まだまだ一般の人の理解は少ない。そして変えていくべきことはたくさんある。
特に問題となっているのが、NPO法人の中で税控除が受けられる認定NPO法人となる団体があまりにも少ないこと。各官庁の許可制となっているため、手続きも複雑でほとんど認定されていない現実がある。官の意識も変えていく必要がある。

もうひとつ、NPOの経営について。
社会起業家という言葉も最近出てきているが、寄付金だけではなく、まずは事業収入で経営を安定させることが大事だと言うこと。ここが弱いため継続できないNPOもかなり多い。そういう意味では営利企業での経験をNPOで生かすために転職するという流れはこれからどんどん増えてくる。官と民とNPOが共に協力しあって成長していくモデルをもっと早く実現させないといけないと思う。

ネットを活用した選挙について

メモとして。
アメリカでは当たり前となっている選挙でのインターネット活用は日本では認められていない。
正確には公職選挙法が古いためもあると思うが、無理やり解釈するとネット活用に関してHPやブログの更新もよくないということらしい。

ネット選挙について
http://ja.wikipedia.org/wiki/ネット選挙

ネットを活用する上での問題点はあると思うが、細かい問題を上げて禁止し続けるのはもう限界がある気がする。適切に活用すると一般の人も参加意識を持ちもっと政治は活性化すると思う。メリットの方が圧倒的に大きいと思う。
過去に改正法案を出したこともあったみたいだけど、結局そのまま変わっていない。早く次の時代に向けて議論を開始しないといけないのでは?

ただ、公職選挙法の解釈に納得せず選挙期間中ブログ更新を行って当選した人は実際いるみたい。
http://www.j-cast.com/2008/09/03026220.html

合衆国再生

アメリカ合衆国大統領バラク・オバマの力の入った著作。
この一冊でアメリカの政治をはじめ国全体の様々な問題、歴史、政策等が一通り理解できる。
そしてバラクオバマのビジョン・考え方・人となりのすばらしさが十分伝わってきた。
この本は415ページにもなるが、それでも上記のことの一部しか語られていないと思う。それほどアメリカ合衆国は大きくて複雑な国家だ。その国の大統領になるにはどれほどの器が必要なのか?想像も出来ない。

本書からバラク・オバマの誠実さを一番感じた。政治家の中でもアメリカにいるすべての人々のことを考えられる人はそうはいないだろう。大統領になったからにはそれが仕事ではあるが、仕事としてではなく、心の底からの思いを持って多くの人に共感し、コミュニケーションし、考え、行動する。そういう政治家だと感じた。

また最後の「家庭と生活」という章では、一人の人間である側面も見せてくれる。どの家庭にもあるような夫婦の会話があり、子供との会話があり、生活がある。自分達と同じ人間であることに親しみも感じた。
バラク・オバマを大統領としてはもちろん人間としてもこれから応援していきたい。

合衆国再生―大いなる希望を抱いて

合衆国再生―大いなる希望を抱いて

直球勝負の会社

この本は昨年開業した、「ライフネット生命」というインターネット専門の生命保険会社の社長の出口治明さんが書いています。この保険会社は、20-30代の人の大きな支持を受けて現在も順調に契約数を伸ばしているようです。

社長である著者はもともと日本生命の人ですが、少子化や保険金不払問題で風当たりの厳しい生命保険業界に新しい波を起こそうとしています。
その会社のビジョンは、大きく3つです。
「保険料を半額にする」
「保険金の不払いをゼロにする」
「保険商品の比較情報を発展させる」
実はどれもやろうと思えばできる(できた)けれどもこれまで他の保険会社ではやってこなかったことばかり。
結局会社側の視点で経営を行っていたことになるのですが、これを顧客側の視点で変えていくビジョンです。

若い副社長の岩瀬さんと二人三脚での立ち上げから開業までのストーリーが著者の思いと共に書かれています。

新鮮だった部分は以下の部分

その頃から漠然と、川の流れに流されて生きていこう、と思っていました。人間の営みのすべては、脳がコントロールしています。しかし脳の活動の中で、意識として知覚される部分は、全体のわずかでしかありません。全体のわずかの部分で必死に考えた将来の設計図を前提に、一歩一歩キャリアを築き上げていくような人生はつまらない、そう考えていました。

それに多くの自叙伝などを読んでわかったことは、人間の一生は人智を超えた何か大きな力によって動かされているということでした。これを運命と呼ぶ人もいます。自らの意思の力だけで何かを成し遂げた人は、とても少ないのです。チャンスを必死に求めたからといって、それなりの成果が得られるほど人生は単純ではないのです。ともあれ、自然体で自分に正直に生きようとすることが、easy-goingな性格の私にとっては、おそらく都合がよかったのでしょう。

著者の大きな視野での自然体な生き方が、風のように心に入ってきました。
この会社ができたのも偶然の出会いからと書いてありましたが、そのような流れを感じ、受け取りながら自分の役割を生きていくことの幸せを感じました。
直球勝負の素晴らしい会社が100年後どう成長しているか、楽しみです。

直球勝負の会社―日本初! ベンチャー生保の起業物語

直球勝負の会社―日本初! ベンチャー生保の起業物語