いつか、すべての子供たちに

最近読む本はなぜか英治出版の本が多いです。この本もそう。
海外の本の翻訳も多いですが、いい選択をしていると思います。


この本は、米国のNPO団体であるTFA(Teach For America)の起業から現在までのストーリー。
TFAは全米のトップクラスの大学卒業生を集めて都市や地方の公立学校で2年間教師をしてもらう事業である。
それが教育の不平等の解消に劇的に効果をあげている。
創業者である著者の
「いつか、この国のすべての子供たちに、優れた教育を受ける機会が与えられるように」
という大きなビジョンが多くの人を巻き込んでムーブメントを起こし、今ではTFAがNPOにも関わらず他の営利企業と並んで就職ランキング10位以内にはいるという奇跡が起こっている。

ただそうなるまでは本当に苦難の道のりだったことが読んでいて分かる。
特に資金調達。大企業を初め多くの資産家や投資家をひたすらたずねて資金提供をお願いする。期限までに集まらなければ解散というプレッシャーに何度も押しつぶされそうになりながら乗り越えていく著者の意思はものすごい。
事業を小さく始めてだんだんと大きくしていくといった普通のやり方でなく、いきなり500人から1000人単位で卒業生を集めて学校に派遣し、ムーブメントを起こし続けるやり方は新鮮。だから資金調達も並大抵のものではなかったと想像がつく。
努力の甲斐があってか、実際の現場では2年間とはいえ新卒の若い教師がすばらしいリーダシップを発揮し、子供達の学力を伸ばす結果を出し続けるというすばらしい成果がでることとなった。

小さなアイデアから始まって強い使命感をもってこれほどの影響を起こした著者には本当に勇気をもらった。
お金を稼ぐよりもこのように社会をよくしたいという使命から事業でインパクトを起こすことからアメリカンドリームは生まれると強く感じた一冊でした。

いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと

いつか、すべての子供たちに――「ティーチ・フォー・アメリカ」とそこで私が学んだこと

国をつくるという仕事

この本にもやられました。ものすごい本です。
アジアの国のリーダーと著者の情熱のぶつかりあい。強い信念。行動力。涙。
貧困をなくすという使命をまっすぐに実行する著者に圧倒されっぱなしです。

リーダーシップというよりは情熱と実行という言葉のほうが心に入ります。

そして一国のリーダーの側面も語られています。どの人も大きい。そしてまた人間です。
特にブータン国王の姿には感動しました。
国民総幸福量という指標をつくり、武力ではなく、対話で解決する信念。
武力を使うことになっても率先して行動し、言った事は絶対に守る強さ。
そしてさっとリーダーとしての国王を降りてしまう潔さ。

圧倒されます。
最後に著者の原体験の文章を。

誰の神様でもいいから、ぶん殴りたかった。
天を仰いで、まわりを見回した途端、ナディアを殺した化け物を見た。きらびやかな都会がそこにある。最先端をいく技術と、優秀な才能と、膨大な富が溢れる都会がある。でも私の腕には、命尽きたナディアが眠る。
悪統治。
民の苦しみなど気にもかけない為政者の仕業と、直感した。
脊髄に火がついたような気がした。

国をつくるという仕事

国をつくるという仕事

奇跡の脳

とても面白い本だった。著者(ジル・テイラー博士)自身が脳の専門家(神経細胞学者)であり、突然襲ってきた脳卒中からリハビリをへて立ち直るまでの記録である。このような立場の人が自身の体験を本にできたことがすばらしい。
先日テレビでも放送されていました。
https://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20090507-21-31163


本の内容は、著者のこれまでの人生、自分自身が脳卒中に倒れた朝の話からリハビリをして回復するまでの過程、それから読者へのメッセージとなっています。

まず前半で脳卒中になった人の状態がホントにリアルにわかる。著者自身科学者なので、さすが冷静に観察し文章によくできていると思った。著者は左脳をやられたのだが、言語と論理的思考をつかさどる左脳をやられると見ているものを意味づけすることができない。言語と記憶を並べる機能がなくなり、時間の感覚も全くなくなってしまうようです。
逆に残っている右脳が左脳の機能から解放され、右脳の静けさを表現できるように変わっていく。著者は涅槃(悟り)の状態に入っていると言っています。ここがとても面白い。

左脳の分析的な判断力がなくなっていますから、私は穏やかで、守られている感じで、祝福されて、幸せで、そして全知であるような感覚の虜になっていました。

著者は手術後失った左脳の力を取り戻すため、子供が言葉を覚えていくように、ゆっくり何度も繰り返し、リハビリを続けます。
涅槃の状態(宇宙との一体感)をなんとか失わない状態で左脳の力を取り戻すよう懸命に努力します。

回復するまでのわたしの目標は、二つの大脳半球が持っている機能の健全なバランスを見つけることだけでなく、ある瞬間において、どちらの性格に主導権を握らせるべきか、コントロールすることでした。

自動的に左脳で生きる、右脳で生きるということではなく、両方をコントロールできるということ。これはすごい発見だと思います。

本の後半は、右脳と左脳をもった人間がいかに右脳マインドを生かして喜びに溢れた状態で生きていくかについてスピリチュアル的(右脳的)に書いてあります。前半の客観的(左脳的)視点とは全然トーンが違います。

脳卒中の前まで、自分なんて、脳につくられた「結果」にすぎないんだと考えていました。だから、押し寄せる感情にどう反応するかに口出しできるなんて、思ってもみなかったのです。感情をどう「感じる」かに口を挟めるなんて、まったく思いもよらなかったのです。生化学がわたしを捕らえている90秒間だけ我慢したら、その後はさっさと解放してしまえばいいだなんて、誰も教えてくれませんでした。この事実に気づいたことが、人生の過ごし方に何と大きな変化を与えたことでしょう。

結局のところ、わたしたちが体験するものはすべてわたしたちの細胞とそれらがつくる回路の産物です。ひとたび、いろんな回路が、からだの内側でどんなふうに感じられるかに耳を澄ませば、あなたは世界の中でどうありたいかを選ぶことができます。

自分の感情は扱えること。90秒待つこと。そして選択できること。まさにいまやっていることだけど、シンプルなこの原理をみんなができるようになればホント世界が変わるだろうな、と思いました。

奇跡の脳

奇跡の脳

「気が付く」-桑田真澄からのメッセージ

去年メジャーを引退したあの桑田のブログをたまたま見つけた。
「気がつく」
http://kuwata-masumi.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-ea9b.html
それを読んで、桑田のまっすぐな思いと、未来の子供達に対する愛情をものすごく感じた。

体力、精神力、技術を兼ね備えたプロの投手に、
70球以上投げてはいけないと言っているんですよ。
それなのに、体もできていない成長期の小学生、中学生、高校生、大学生に、
練習や試合で、100球、200球と投げさせている指導者が、何と多いこと。
この現状は、とても恐ろしいことだよね。

勝利至上主義以外、何物でもないよね。
学生時代は、育成が大切なのに、どんなことをしてでも勝つことしか考えていないん
だよね。
子供の将来なんて、何も考えていないんだよ。
そんな指導者に、子供を預けている親は、恐ろしいことをしているよね。
安心して子供を預けられる指導者は、どこかにいないのかね?

昔からある日本の野球の指導法について、思うところを率直に語っている。
これほど率直に言えるのはとても勇気があると思う。自分が今まで信頼してきたコーチや監督を否定することになるかもしれない。それでもはっきり言っている。そこまではっきりいえるのは、これまでの指導法で可能性をつぶされた人がいっぱいいたということなんだろう。

あとは指導者のあり方について。

自分に甘くそして、優しく、子供達に厳しい指導者は要らないですよ。
たばこを吸いながら、ミーティングをするのは止めて下さいよ。
練習中に、煙草すら我慢できない弱い人に、何が指導できるんですか?
昼食に、ビールなど、アルコールを飲んで練習するのはよくないですよ。
夜まで、アルコールを我慢できない自分に甘い人が、子供達に何を指導するんですか?
不思議ですよね?
子供達を指導する前に、誰かに指導してもらってください。

桑田のすごいところは、このような昔のやり方を変えていくことができるところ。しっかりと自分で考えて意見を言えるところだと思う。ついつい人は、過去自分が受けたやり方を否定したくないので、いいやり方と思って同じことをまた子供達にやりがちだ。これは会社での後輩の指導もそう、育児でもそう。でも過去は過去。今考えられるベストな方法は何なのか?常に新しい視点で見ることを忘れないで生きて行きたい。

今までは、どうでもいいんですよ。
大事なのは、これからです。
人は、いつからでも、どこからでも、何度でも変われるんですよ。
やり直してみませんか?

宇宙飛行士の選考過程

今日NHKで放送していた宇宙飛行士の最終選考過程。とても面白かった。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090308.html
宇宙飛行士にどういう適正が必要か?どういう人たちが残っていくのか?その実態がリアルに伝わってきた。
適正については、

  1. リーダーシップ
  2. ストレス耐性
  3. 場を和ませる力
  4. 緊急対応能力
  5. 覚悟

が紹介されていたが、ひとりの人間の能力としてはとても幅広い。これらの力がバランスよく求められていることが審査員のコメントでよくわかった。
最終選考に残っている10人とも、その分野では相当能力があり出来る人だと思うが、各分野の能力と共に、やはり最後には覚悟を問われるようだ。NASAで宇宙飛行士達に囲まれ面接するのはかなりの緊張感だと思うが、審査員の「審査する相手が自分の命を託せる仲間かどうかを見ている」というようなコメントが印象に残った。最後はデータでは見えない人と人とのコミュニケーションにおける信頼感、直感などが決め手になるのだろう。
人間である限りその部分は昔から変わっていない気がする。
あともうひとつは選考で選ばれなかった人たちの思いや背負っているもの大きさ、そして悔しさがぐっと伝わってきた。誰かがコメントしていたが、「失敗はよくあることです。また次の夢に向かってがんばります」、その軽さというか、楽天さというか、なんかその言葉に力が抜けた。そう、人生は失敗の連続。また次挑戦するだけなのだ。

自分も昔宇宙飛行士を本気で考えていた頃があったけど、目標をもって突き進むその頃の強い気持ちを思い出した。
今年もまたしっかりした目標と軸を決めて進んでいきたいと思う。

最近買った本

気がついたら一つ年取ってました。暑くて頭ぼーっとしてます。
最近買った本です。本の整理も大変になってきました。
まずは組織系の本。最近興味あり。

最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か

最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か

出現する未来 (講談社BIZ)

出現する未来 (講談社BIZ)

チーム・ダーウィン――「学習する組織」だけが生き残る

チーム・ダーウィン――「学習する組織」だけが生き残る

あと梅田さんの本。モチベーション上がります。

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

そしてナミさんの本。シンプルだけど深い。実行したいけどなかなかできない。子育てのバイブルかもしれない。

Namiさんのネーミング子育て

Namiさんのネーミング子育て

コーチング・バイブル!

コーチング・バイブル―人と組織の本領発揮を支援する協働的コミュニケーション (BEST SOLUTION)

コーチング・バイブル―人と組織の本領発揮を支援する協働的コミュニケーション (BEST SOLUTION)

ついに出ました第2版。英語版ではだいぶ前に出ていたので思い切って買ったしまったのですが、ちゃんと日本語版の翻訳が進んでいたんですね。これ買ってしまうと英語版読むのがさらに遠くなってしまいます。。
今回は英語の翻訳でかなりディスカッションがあったようです。英語で意図していることを適切な日本語でどう表現するか?考えると難しいですね。自分達が去年まで学んだ表現も最新の表現に変わっています。これからじっくり読みこなして、というか、一字一句味わっていきたいと思います。