ある詩

この世に於いてのすべての経験は
「愛されること」からはじまったのだ。


そんな無重力に似た思考のようなものを
あるひとつに集中したとき
そこには引力が生まれる


想念を宇宙とする思考には
迷いも戸惑いも 追求も探求も無い
二卵性のような心理と真理がある
それはひとつの集中によって
輪郭を持った存在となったまま現れる


これを
ある人は閃きという
ある人は悟りという


ここで
この詩は完結である


はずだったが


この世を離れるとき
自分のためだけに心の底から涙を流してくれる人に


「これが自分だ」と伝えることができる
この生きた証明の愛を残したいと思ったのだ


なぜなら
この世に於いてのすべての経験は
「愛されること」からはじまったのだ


そんな無重力に似た思考のようなものを
あるひとつに集中したとき
そこには引力が生まれる